mixiが先日『mixi訪問者』の『リアルタイム訪問者』を試験的に開始した。
最近始めたという人はどちらかというと少数だと思うので、
おそらくは以前の『足あと』機能があった頃からのユーザが大半だろう。
そう、リニューアルというよりは、単に復活です。
2011年6月に一部のユーザにとっては改悪と言われたサービス改善、
今まであった『足あと』機能をリニューアルさせたのが現行の『mixi訪問者』です。
それまでは、プロフィールや日記などの自分のページへのアクセスがリアルタイムで記録され
例えば自分が日記などを書いた時は誰が見てくれているのかなどをチェックしていたユーザは多かった。
また、例えば恋人同士などで互いにmixiを利用している関係では、
毎日お互いのプロフィールページを行き来しているのを足あとだけを見ているだけでも満足している人も多かった。
その頃は、そういった行為に批判的な人もいたのですが、
これって実は最近主流になっているFacebookでも似たような機能があるんです。
それが、『Poke』です。
ピンポンダッシュをするようなカタチのアイコンで
相手に対して日本語では『挨拶』と略された『Poke』を送ると
相手はそれに対して返信をすると、また自分のところに『Poke』が帰ってくる。
それを繰り返すことで、お互い会話などをしなくても何となくつながった感じをずっと保てるというもの。
『Poke』は現在はFacebook自体が公式でリリースして、更に機能が強化されたとはいえ
もともとは単に『Poke』とよばれる信号を贈り合うだけの機能だった。
けど、これが爆発的にヒットした。
コミュニケーションというのは、人によって得手不得手があるし、
実際問題、話すことが無いって人だって決して珍しくはない。
けれど、どんな人でも必ず出来るコミュニケーションが『挨拶』。
それは言葉ではなくて仕草でも可能で、SNS上で代表的なのが『Poke』だ。
例えばTwitterで「おはよー」なんていう挨拶はよく見かけるし、
それに対して返事を返す人も多く、それに対して「おはありでした」と返す場面も多い。
筆者も例外でなく、たまにその流れに乗ることはあります。
しかし、それを正直うざいと感じる人は少なからず結構いるもので、
挨拶ごときをいちいちTLに流すなという意見もある。
もちろん個人の自由ではあるが、確かに毎朝フォロワー全員が「おはよー」と言って、
それに対して全員が返していたら正直目障りに感じるかもしれない。
じゃあ個々に対して挨拶をするのであればDMを使うという手もあるだろう。
Facebookの場合はMessengerを使うということ。
しかし、毎度毎度メッセージが飛んできたら、
例えば気の利いた人なんて、「風邪は少しよくなった?」なんて返すことになるだろう。
そのうち「そういえば彼氏と喧嘩してたの仲直りした?」「今日は暑かったね」「ご飯食べる?」
と徐々に毎回会話風な挨拶がやってくるようになって、
そのうちに「たまにはちゃんと返事返してよ!」なんてなる…
そう、ソーシャル疲れだ。
コミュニケーションとして当たり前に行なっていたつもりの挨拶が苦になってては仕方ない。
それをもう少しライトにして、お互いあまり苦にならない程度のコミュニケーションをする『Poke』は
そういった意味で非常に重宝されるものだと私は思っています。
そして話が戻るのですが、それに近いものとして機能していたのがmixiの『足あと』だったと考えています。
「ああ、今日も誰々は見に来てくれてたな」とか、「お?今見ているってことは電話していいかな?」とか
そんな簡単な内容から、例えば彼氏と喧嘩した時には日記に謝罪文を書いて
それを見たってわかった瞬間にごめんねメール送ったりなんて、
そんな風に青春時代を過ごした方も結構いると思います。
mixiはそれがよかったんです。
それまでインターネットというのは匿名で目やカタチに見えないコンピュータ相手にしている感覚だったのが、
一気にまるでリアルコミュニケーションをしているかのようになれた。
リアルタイムで足あとがつくことで、どこにいてもみんなと繋がっているような気になれた。
もちろんその機能を疎ましくおもっている人もいたのは事実だが、
mixiを愛好している人達はそれを上手く遣いこなし、
数少ない消去できる足あとの数と格闘しながら、
足あとがつくから、今日はあいつのとこに見に行かないなんていう会話があったりと
ネットとリアルをうまく行き来する楽しさを教えてくれたといっても過言じゃないと思っています。
ところが、それを突然やめた。
恐らく批判の声もあったからだろうとは思います。
しかし、そこがユーザを流出するきっかけになったといってもいいでしょう。
もちろんそれだけが理由じゃなくて、海外製のSNSの台頭がゲーム系SNSの躍進やスマホへの対応の悪さなどがありますが、
とはいえ、これがある意味決定打といってもよかったでしょう。
でなきゃ復活させるわけがない。
でも、あれから約1年半。
正直遅すぎる。
実際に新しく提供されている『リアルタイム訪問者』の機能は
以前のそれよりもかなり機能がアップしている。
例えばコミュニティ経由で来た訪問者の場合は、『◯◯コミュ』という風に
コミュニティのところからリンクされて来たというのがわかるようになっている。
これは以前よりも非常にわかりやすくてよいと思う。
だから、復活した機能としては素晴らしいと思うのですが、
復活させるのが遅すぎたと思うし、だったら復活させるべきだったかも疑問である。
事実、今残っているユーザがリアルタイムの復活を喜んでいるユーザかどうかが疑問なこと。
なぜならそれを望んでいたユーザは待てども待てども復活する様子がないことで離れていったから。
残っているユーザはむしろ、その機能が嫌だった人達の可能性だってある。
全て悪循環と言わざる得ないように思う。
一度離れたユーザを引き戻すのは大変だ。
個人的には今回の機能は歓迎ではあるのだが、
とはいえ、僕がmixiをメインで使うことは今のところないだろう。
大幅にリニューアルしたところで、それはmixiではないとも思っている。
mixiの何がよかったかというのは、
もはやノスタルジーでしかないようなレベルに来ている気がする。
しかし故郷には故郷のよさがあるし、
ある程度おおきくなったら帰りたくなる人だっていっぱいいるだろう。
むしろ日本のSNSの故郷として、よりノスタルジックさを演出することが大事だと思う。
つまりは今回のようなかつてのmixiの代表的な機能を復活させることは大いに賛成である。
mixiはより、匿名と実名のグレーな感じと、
巨大匿名掲示板にはない、匿名ではあるのに紳士的なコミュニティと、
成人と招待されたものにしか許されていなかった特別感を
どれだけ復活させられるかが鍵ではないかと個人的に思っています。
このままでは、もうそこに足あとすら残らないだろう。