ソーハラは無意識だからタチが悪い

ソーハラ

朝日新聞デジタルにソーシャル・メディア・ハラスメント、通称『ソーハラ』について記事があった。

SNS、職場ストレスの種 「ソーハラ」相談も急増

これだけを見るとまるでFacebookが悪の様な気配さえするが、

他のSNSでも同様なことは起きている。

とはいえ、主にFacebook上で起きているのは事実でしょう。

mixiの時は本名ではなく、匿名でやっていた人達も

Facebookは大半の人が本名でやっている。

会社にPCなんて部署ごとに1台です…なんて時代でもなく、

会社支給以外のPCすら持ち歩いている様な人達の場合は

ほとんどといっていいほど何かしらのSNSを仕事の時もしていると思います。

本名でやっていたり、勤務先が登録されていたりとかで

会社の中の人にもみつかりやすいし、

メアド検索で一発でひっかることも多い。

それどころか、紹介記事のように上司や同僚から普通に

「Facebookのアカウント教えて」と言われるのはざら。

まだ言ってくれればいいけど、無言で申請が来た時なんかはゾッとする。

ひどい話なんかでいえば、最近は会社が強制でFacebookをやらせることも多い。

接客がともなう仕事の人に非常に多い話で、

アカウントを持っていない人はまず強制で作らされる。

持っている人はまず会社の人同士でフレンドにさせられて、

それからお客さんとも積極的にこちら側からフレンド申請しろと言う。

それからは、一時期の会社のブログみたいな感じで

毎日1つ以上は写真付きで何かを投稿しろと言われ、

投稿していないと上司から夜中にメッセが飛んでくる。

もちろん、アメブロでペタをつけまくっていたのと同じ様に

お客さんの記事にイイねをつけまくらなくちゃいけないし、

当然上司や同僚の記事にもイイねだけじゃなくて、コメントをつけないといけない。

それを怠れば、毎日時間を問わず怒られ、

あげくの果てには人事や給料にも影響が出る。

さきほどの話のほどではないにしろ、

参考記事のようにソーシャルハラスメントは日常的におきている。

勤務中は普段の業務に集中しなくちゃもちろんいけないから、

勤務時間外はソーシャルワークが中心となる。

一体なんのためにこんなことをやっているのかすら疑問になる。

月1くらいにアウトドア好きの上司に付き合って河原でBBQをしたりするのとはわけがちがう。

毎日、毎晩、毎朝、四六時中、会社の人達と半強制的な交流が待ち構えているのだ。

そりゃ疲れる。

会社が強制でSNSをやらせている分にはまだ何となくブラックだと諦めがつくものだが、

一番達が悪いのは、決して会社が強制ではないパターンだろう。

特に冒頭でも書いた通り、突然やってくる上司の無言のフレンド申請にはゾッとする。

というのも、もちろん断るわけにいかないし、

紹介記事にもあるように、遊びにいったりしたような日常報告すら出来ない。

しかし、実は上司だって別にそんな悪気があるわけじゃない。

上司達は更なる上司からの話や、何かしらの部下をコントロールするためには的な本などを呼んだ結果、

部下とは友達感覚でコミュニケーションをとって、

普段から部下が仕事意外でも悩みごとがないかなど、

プライベートに入りこむことで、人間関係を構築しようとしているのだ。

「◯◯ちゃん、釣りとかするんだねー。あれ彼氏?かっこいいじゃん!」

「ありがとうござます( ´∀`)彼氏が釣り好きではまっちゃって」

「実は俺も釣りが好きなんだよ。なんでも聞いてよー」

「うわ!そうなんですか!意外ですね!!ぜひ色々聞かせてください」

なんてことをキッカケに、交流が深まり

悩んでいることなどをスムーズに聞きだせるようになる…

というような未来予想図を描いているだけ。

でも、だから上司は必死になる。

もっと記事を書いてくれないと、そんな交流も出来ない。

もっと僕のことを知ってほしいからいっぱい書いているのに

イイねを押さないってことは見てもないのだな!ってなる。

ストーカーか。

そんな状態はそこかしこに溢れてて、

善意というか、仕事を円滑にしよう、部下が気持よく仕事出来る環境を整えようと

そんな風に考えた結果が、こんなタチの悪い事態を招いているのだ。

私も同様にかつて会社勤めしていた時に

直属の上司にたまたま見つけられて

すぐに別アカウントへ誘導したのだけれど、

結局別アカが全く更新されていないもんだから

そんなわけないじゃんってなったりと面倒でした。

いちいち鍵アカにするのも面倒だから

そのまま放置してたら、実は毎回チェックされてたなんてこともあるでしょうし、

私はあるときから諦めましたし、参照記事にあるような感じで

プライベートと仕事を分けているのでっていうような感じで断るようになりました。

そのかわり、同じ職場の人とは一切SNSでは交流しないという風にしたため

ある程度の孤立感は仕方なかったですね。

とはいえ、ソーハラを受けるくらいならマシだと思っていたので、

その辺は早い段階でそうなることを予測出来た分よかったと思っています。

SNSを会社の上司や同僚に丸見えにすることというのは

まるで普段、気心しれた仲間でぶっちゃけトークをする居酒屋の横で

会社の上司や同僚が呑んでいるようなもの。

もちろん、限定公開などの処置で見えなくすることは出来るものの、

それも結局は隣で呑んでいるからヒソヒソ声でしゃべっているようなもので、

いずれ上司達は「何か秘密事があるだろ?ん?」って気づいたりするため面倒だし、

ぶっちゃけトークをしにきたのに「うちの会社最高!」って思ってもみないことを言わなくちゃいけなくなり

余計にストレスが溜まっていくのです。

もしこれを読んでいて、思い当たることがある方は、

そのフレンド申請ボタンを押す手を一度止めて、

本当に部下達を安らがせたいなら、こっそり側耳立てるぐらいにしておいてください。

そして既にフレンドしまくっている場合は

そのままでもいいので、せめて「イイね最近してくれないね」とか

「どこどこ遊びに行って、俺にお土産はないの?(笑)」みたいな超ブラックジョークとか

そういったことは一切やめて下さい。

社員に強制でFacebookをさせているところは、もういいです。

社員も馬鹿じゃないだろうから、きっと別垢作ってるし、

そうじゃない人達はそれできっと楽しんでいるか、どうでもいいかのどっちでしょうから。

一番は、プライベート空間であるSNSを

後から来て踏み荒らすのだけは本当にやめましょう。

あなたが、あなたの上司にされていやなこと、

あなたが、あなたの奥さんにされていやなこと、

それをまず考えて下さい。

休みの日に、ふとこころを休める静かな空間に

あなたがひとりしずかにその静けさを楽しんでいるところに

ブブゼラを鳴らしながら会社の人間がスーツ姿で明日は仕事だ!仕事だ!仕事だ!

っていいながら行進してきたらゾッとするでしょう。

会社が終わって家に帰ってきて、ビールを片手につまみを食べていたら

目の前でパソコンを広げて部下たちが仕事だ!仕事だ!仕事だ!

って一本満足バーのCMみたいな踊りをしながら現れたら

いったいどんな魔法を唱えればいいのか悩むでしょう。

そういうことです。

SNSが単なる苦痛の空間にならないように、

ぜひともお願いいたします。