こんにちは @georgek5555 です。
筆者は時折企業アカウントや著名人公式アカウントの運営について相談されたり、運営のお手伝いをしたりしています。
そんな時によく話すのが企業アカウントがいかに『粋』であるかといことです。
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こんな『粋』を見かけました
とある知人の方がこんな『粋』な宣伝を教えてくれました。
いわゆる『大入袋』ですね。
この『大入袋』をとあるお店が街中で配っていたようです。
袋自体には特に何か仕掛けがあるわけでなく
裏面にも何か特殊な印刷も施されていませんでした。
結構な数の人が何だろう?と疑問に思いふと受け取ったそうです。
中身はいわゆるお店の宣伝が書かれた名刺サイズのカード。
特に大したギミックが施されたわけではないですが
普通にお店の宣伝を配るよりも多くの人が受け取る可能性があり、
そして例え中身が広告であったとしても
それ自体を『粋』だと感じて喜ぶ人が多いかと思います。
例えば時折あめ玉をくっつけて配る広告などもあります。
ティッシュなんていうのは嫌というほど見たでしょう。
その『使える』おまけよりも、恐らくは多くの方がこの『大入袋』を
楽しみ、喜び、時にはSNSに共有したりしながら宣伝してくれるでしょう。
『あそこの店は”粋”だ』と。
SNSでも『粋』が大事です
前述したように所謂”公式アカウント”の運用の相談などを受けるとき
かなり多くの比率で『まじめに』『上品に』などの要望を頂きます。
また逆に『おもしろくてシェアされやすい』とか『ウケがいいの』などといった投稿に関しても相談を受けます。
どちらも企業のイメージというのを考えて
ちゃんとブランディングをすることは基本中の基本でしょう。
ただし、
どうやったら投稿が読まれるか?
どうやったらシェアされるのか?
というので大事なことのひとつが『粋』であるかです。
現在は多くの”公式アカウント”と呼ばれるものがSNSに存在しています。
ソーシャルを使った宣伝活動などが効果があると
本や講演、そして知人の会社などに聞いた人が始め
そして今では当たり前になってきているだけに
とにかく策もなく始めるところが多いでしょう。
「うちの企業は冗談めいた投稿はいらない」
「単にオモシロイだけの投稿なんてイメージダウン」
「とにかくまじめにやってほしい」
こういった声があがるのは、
恐らく有名になった企業アカウントが
少しくだけたオモシロイ投稿をしているからでしょう。
しかし、それらの投稿は単にふざけてオモシロイだけではないのです。
ターゲットがどこにあるかを見極める
SNSのアカウントで企業の宣伝活動をする上で重要なのは
どこのターゲットに届けたいのかがとても重要だと筆者は考えます。
恐らくは多くの企業が、このターゲットを絞りきれず
ただ、アカウントを運用すればいいという間違いを犯しています。
現在はかなり幅広い世代の方がSNSに触れ合っていますが
コアな年代はやはり”若い世代”の人です。
数ある企業アカウントの中で有名になるのは
多くはこの”若い世代”の人達にウケたものです。
筆者が唱える”若い世代”は決して年齢だけではありません。
「◯◯さんって若いよねー」と言われる
年齢ではなく、感覚が若い人も含みます。
彼らの多くはとても新しいものに敏感です。
SNSを普及させていったのも彼らです。
そんな彼らがオモシロイと思うものは
単におふざけをしたものではなく『粋』なものです。
『大入袋』に込められた思い
冒頭で紹介した『大入袋』はいい例です。
決してふざけすぎているわけでなく、
そして効果もちゃんとある『狡猾』な『粋』です。
受け取った人は「大入になるようにと願いを込めているのか」や
「あなたにとって大入りになるような情報かも?という意味か」など
様々なことをこれを受け取って感じるでしょう。
しかしそのどれも答えであって答えでありません。
贈る側も受け取った側も直感で心が温まるもの
それが日本ならではの『粋』の心のひとつだと思います。
多くのSNSの”公式アカウント”にはこの『粋』が欠けています。
NHKの時報アカウントのくだけ方や
SHARPのアカウントが突如つぶやくマニアックなミュージシャン情報などは
一見、コアなターゲットを狙っただけの
おふざけのように見えるかもしれません。
しかし、そこには『人間臭さ』が存在し、
そしてそこから発せられる『うちの企業には心があります』という言葉の数々に
人は温かさを感じて、そしてファンになっていきます。
“粋”は人を魅了し、そして心に根付きます
冒頭に紹介した『大入袋』のお店は今度はこちらを配っていたそうです。
桜がまだ咲かない都内で、
桜の満開を待つようなそんなポチ袋。
色々な思い、願い、そして心意気が込められている気がします。
単におもしろいだけではなく、
そこには”粋”があります。
そうして、そんなアカウントに触れていく度に
そのアカウントに魅了された人達の心には
さまざまな好意の気持ちが根付きます。
ファンというのはこうして作っていくものでしょう。
古くからある老舗の様々な商人の方が
とても大事にしているものがこの”粋”であることからも
商売として運用するソーシャルアカウントにも
同様の心構えと心意気が必要なのは明白です。
目の前にいるのは顧客1人1人だと考えて
一般的な広告も勿論同様ですが、
ソーシャルアカウントも基本的には
それを見ている相手が顧客1人1人だと考えてください。
顧客1人1人の脳内に直接語りかけるうえで
大事なことは何か?それをもう一度考えて運用するといいでしょう。
もちろん様々な効果的な手法はそれぞれ効果があるでしょうが、
一番忘れてはいけないのはこの”粋”だと筆者は考えます。
待ち侘びていた春がようやく足音を奏でてきました。
年度変わりのこの時期にもう一度
企業アカウントの運用について考えてみるのもいいかと思います。
※Thanks to Photo by T.O