ここ最近の話題のひとつといえば、マクドナルドをはじめとした飲食店や食品メーカーで相次ぐ異物混入事件。
最初は1つ、2つくらいのものであったのが、徐々にSNSなどを通じて大量に報告され、謝罪会見などを行うまでに至っている。
食品の異物混入はあってはならないことではあるものの、100%防ぐことはいくら大企業であっても難しいだろう。
実際に今回の事件で取り上げられた消費者による異物混入は、全てがここ数日ないし数週間のものばかりではなく、1年以上も前のものまでもがあがっている。
Contents
SNSに投稿をすることに対する批判の声が上がってきた
異物混入に関する企業側の対応の是非に関しては、その辺のプロの方に語ってもらうとして、私が今回語りたいのは、そもそものSNSへの投稿に関してだ。
ここで事象を述べるまでもなく、すでに異物混入に関する投稿をした人へ「SNSに載せるのはやりすぎだ」「わざわざSNSに載せるとはひどい」などといった声が、多くあがっている。
とあるリサーチ結果では、異物混入の証拠写真をSNSにアップする人に違和感を感じる人は43%と、実に半数近くの人が違和感を感じていることがわかった。
投稿された当初は「これはひどいね」「◯◯の対応はどうなっているのか?」などといった、投稿側に寄った声が多かったものの、最近はむしろ「やりすぎ」「なんでも投稿すればいいわけではない」の声の方がよく聞こえるほどになっている。
果たして何故にSNSに投稿するのがいけないのか?
私の個人的考えは「どうしてSNSに投稿するのがそこまでいけないのか?」というものだ。
ここ最近は、以前よりもSNSが息苦しいものになってきた感がある。
ましてや、今回の件に関して言えば被害者は、写真を投稿した消費者側であることは紛れもない事実だろう。
可能性として一部に、ネタとして偽装されたものがあるのかもしれないが、アイスクリームの冷凍ケースや、冷蔵庫に入って遊ぶ写真を投稿したものとは大きく違い、実被害を受けた人が被害を訴えかけた写真を投稿することを、そこまで叩く神経は正直分からないところがあった。
しかし、別の視点で考えてみよう。
SNS、例えばTwitterはあくまでも個人のつぶやきの場所だ。
そこで何を個人が書こうが、正直自由であろう。
しかし、中には好きに書きたかったら鍵付きアカウントにしろという声もある。
鍵付きでないアカウントはあくまでも公の場での発言であるので、何でも好きにしていいわけではないという人がいる。
このことについてオンラインではなく、オフラインで置き換えてみるとこうだ。
かつてのTwitterは、まだ原住民しかいなかったアメリカ大陸のような場所だったとしよう。
例えばそこで大きな声で他の人が聞いたら不快に思うようなことを叫んでも、そもそも人があまり居ないので、問題視されなかっただろう。
例えば見れば嫌悪感を抱くような、不健全な写真を手にもち「こんな写真が好きなんだ!」と叫んだところで、結局は人が少ないために、あまり相手にされず、彼の周りには人がいないという空間が生まれて終わりだったのだと思う。
ところがここ最近のTwitterなどのSNSはちょっと違う。
もはや都市が形成されていると言えばわかるだろうか。
例えば今回の異物混入の写真に関して言えば、かつてなら周囲に数人の友達しかいなかったため、写真を高々と掲げて「これおかしいよね!ひどいよね!」と叫んだとことで、彼の行為を咎めるものはいなかっただろう。
しかし、現在のTwitterでは、持って帰った食べ物に虫が入っていたとして、その写真を撮ったのちに自宅の玄関に「◯◯には虫が入っていました。つらい」などと書いたポスターを掲示しているようなものなのだ。
自由であるのだが、すでに都市が形成されている中でのそういった行動は、一部の人間からは「常識を逸脱した行為」のようにとられているということなのだ。
被害があったものが叩かれる状況には異を唱えたい
しかし、前述したように、被害に遭ったのはあくまでも写真を投稿した消費者側である。
100%異物混入を避けるのは無理にせよ、報告した側をそこまで糾弾することには正直異を唱えたい。
わざわざSNSに投稿なんかせずに、直接企業側とやりとりをすればいいじゃないかという人も少なくはない。
しかし、それでは納得しなかった一部の人が、今回こうした行動に出たのではないかと私は推測する。
事実としてあったものではなく、自分が意図的に混入したネタ写真であれば、いくら叩かれても仕方ないとは思うが、実被害を受けた人であるなら、報告写真をアップすることは仕方ないのではないだろうか?
例えばこれがガジェットネタならどうだろう?
iPhoneの一部の機種に不具合があった場合、「こんな不具合がありました」と報告するツイートなどをアップしても、基本的には多くの人はそこまで彼のことを叩かない。
ましてや、ブロガーなどの人はそうした問題をこれぞと取り上げるケースも散見する。
今回が食品であったこと、そして愛好家が多い企業であったことが、逆に被害者を糾弾する自体を招いていることは正直見ていて遺憾であるし、またSNSに何でも投稿していいわけではないといった声や、そういうのをネットにアップするなという声は、正直SNSを息苦しくするものだと思うため、大変寂しい声だと思っている。
一番の問題は、こうした問題が起きた時に、ゴシップばりに取り上げるメディアの報道の仕方だと感じている。
メディアは、こうした事象を報道する義務があると思うため、報道すること自体はむしろ歓迎すべきことであると思う。
しかし、一企業の存続さえも脅かしかねない問題であることであるため、大変繊細に扱うべきだろう。
事実関係もよくわからないまま、全ての写真を事実と受け止められるかのように報道する姿勢や、数年前の写真などを引っ張りだしてきて、まるでここ数週間で全て起きたかのように報道するのは、正直事実を婉曲しているとも言えるレベルだと思う。
一部のマスメディアなどでは「全てが最近のことではなく、過去にあったものを寄せ集めているため、まるで今急に異物混入が起きているかのようにとられているが…」と専門家が発言していたものもあった。
一部のゴシップメディアを除く、大手のマスメディアはこうした問題を正確に報道が出来るように、より繊細に取り上げていくべきではないかと個人的には思っている。
ましてや、被害が受けた側が悪魔のように叩かれる事象を作り出していることは、報道の正確性を欠いていることが原因か、もしくは切り出し方に問題があったのではないかと思う。
可能な限り、こうした問題提起や報告をする行為が制限されないようなSNSであってほしいと願うばかりだ。