ちょっと気になる記事を見つけた。
TumblrとWordPressで迷って、ネットサービスは無料が当たり前な時代の終焉を感じた by うめのんブログ
今は無料で使うのが当たり前だという感覚になっていて、
とある世代から、無理して質が悪くても無料サービスを使うなんていう記事を
先日どこかで見かけたけれど、
この方の場合はむしろ逆で、instagramのことなどを例にあげて、
これからは無料のサービスに身を預けることに不安を感じるというユーザが増えるというような話。
プライバシーが重要なサービス、長期的に使えないと困るサービスなどはお金を払う動機ができやすい。
という様な締めくくりになっていて、
個人的には共感出来るところも非常に多いのだけれど、
果たしてユーザはただお金を払うことが嫌だっただけなんだろうか?と疑問符が浮かんだ。
というのも、僕の中では日本の今のSNSのパイオニアというのはやはりmixiだと思っていて、
これだけSNSが当たり前になったのもmixiの普及のおかげだと思っています。
これから新しくSNSは始めるという人にとってはmixiは馴染みが薄いかもしれませんが、
それでもまだ非アクティブだとしてもユーザが多いのは事実。
そんなmixiは、かなり早い段階で課金サービスを初めていた。
mixiプレミアムというサービスで、
サービスの内容自体は、写真アルバムの保蔵容量や、日記の保存期限など…
まさしくさきほど取り上げたブログの記事がほしがっている内容を
無料の方との差別化で、有料提供するというものだった。
月300円そこらなので、ソーシャルゲームとかで払うお金を考えれば非常に格安だし、
事実、一番mixiが流行っていた頃は、プレミアム会員は非常に多かった印象がある。
例えば僕の知人女性は、決して僕みたいにブログをいっぱい書いているわけでもなく、
単に写真をいっぱい保存したいとか、過去の日記を長期保存したいという理由だけで、
毎月300円という有料会員になっていた。
僕のマイミクさん(いわゆるフレンド)にもプレミアム会員は多く、
プレミアムじゃない人達でも、色々なサービスを見たうえで、
いつプレミアムにしようか…なんて会話が出ていたりもしていた。
あの頃はむしろみんな有料サービスへの敷居は非常に低かった印象。
というのも、着メロとかの毎月の課金や、占いサービスの課金など、
わりとwebサービスへお金を払うことにそんなに抵抗は無かったからだと思う。
「いや、今は無料でなんでも手に入るから」という声が聞こえてきそうだが、
実際あの頃も無料で手に入っていた。
少なくとも有料で買えるものの大半は無料で手に入っていた。
だから、別にその意識が問題だとは思っていない。
じゃあ、なんでそうやってmixiプレミアムにお金を払っていたみんなが
SNSサービスにお金を払うことに躊躇を始めたのか?
まず第一に言えるのは、Facebookなどのソーシャルサービスが
無料でなんでも提供しすぎたというのがひとつでしょう。
mixiの場合は、スタートが完全に個人の趣味から始まって、
そこからしばらくは会社勤めをしながらサービスを提供していたなんて歴史もあり、
最初から無料でなんでもかんでも提供するには限界があったのだろうと思う。
かたやFacebookはアメリカという巨大なマーケットを中心に
早い段階でビジネスへとシフトしたこともあって、
無料で提供するサービスをどれだけ範囲を広げられるかというような感じで
おそらく成長の仕方が違ったんだということがあるのだろう。
とはいえ、写真の保存や、チャット、今度は音声通話まで…色々なことが無料で出来るわけで、
これを目の前につきつけられたら、そうそう有料なものにお金を払おうとは思わなくなるのもある。
ただ、それも僕は一番大きな原因だとはおもっていない。
一番の大きな原因は、今までの有料システムだと思っています。
まずは先ほどあげたmixi。
恐らくあの頃は、このままmixiは自分たちが死ぬまで
みんなにとってのコミュニティであり続けると錯覚していた人も多かったのだと思う。
あの頃のは他のSNSなんて誰も目にもくれていなかった。
アメブロでさえ、単なるブログサービスだとしか思っていなかったし、
Facebookなんて存在すら知らない人が大半だっただろう。
だから、みんなお金を払った。
でも、それは決してそうじゃなかった。
あれだけ愛したサービスも、今となっては他のSNSの中の1つのサービス。
唯一無二ではなくなってしまった。
保存しまくった写真や、日記も移転することすら面倒くさい量になり、
かといって、エバーノートやドロップボックスなどのクラウドストレージサービスほど使い勝手がいいわけでもなく、
まるで街中にある銀行の貸し金庫に預けたような状態なのである。
毎月お金を払って想い出を保存しているのだけれど、
わざわざ見に行かなくちゃいけなくて、
しかも、その量が半端ないから、いちいち全部取り出して移し替えるのも面倒。
なんでこんな半永久的にお金を払い続けなくちゃいけないのか…
もういっそのこと全部捨ててしまえ!とすらなってしまう。
そんな人は1人や2人じゃないはずだ。
まるでmixiだけが悪いような言い方をしてしまったが、
むしろmixiはサービスを続けているし、会員だってまだ全然普通にいっぱいいるから
そこはまだ決して悪ではないと思っているが、
それ以外にも、有料サービスにお金を払い続けていた人達が
突然その会社がどこかに買収されて、サービスが変わってしまったり、
悪いものだと、サービス自体が無くなってしまうなんてこともざらだ。
ユーザがお金を払うことに躊躇し始めたのは、
有料でサービスを提供していた会社側にあるのじゃないだろうか?
お金を払っていたにも関わらずサービスが無くなったり、
仕組み自体が改悪になったり、
そのサービス自体に魅力がなくなったり、
きっとユーザ自体は決してそこまでケチではなくて、
本当はお金を払ってもいいと全然思っていたりするのに、
むしろお金をもらうだけもらって裏切ってきた側に問題があるのじゃないだろうか?
今回とりあげた記事の著者の方はwordpress.orgにお金を払ったということだが、
海外のサービスで、しかもそれが本当に半永久的に続くかなんてわからないと思います。
例えばgoogleのbloggerのようなサービスだって、
googleという巨大企業だから安心なような気がしますが、
あそこもいくつものサービスを統廃合させたりしている。
flickrのようにYahoo!という巨大企業に買収されてからむしろ改悪されたパターンもある。
SNSユーザがどうしたらお金を払うかということ以前に
ユーザがどれだけ失望させられたのかを考えて欲しい。
きっと何かが違っているのだろう。
囲い込むことが果たして本当に大事なのか?
データを預かるということの意識がどれだけあるのか?
本当のユーザの声を聴いているのか?
今のままでは、きっと今回の記事の著者が言うような
徐々に有料へシフトは起きないでしょう。
裏切らないサービスを作るのはとっても難しいでしょう。
大きな企業がどんどん潰れる時代です。
恐らくこれからは、裏切っちゃうかもしれないことを前提とした
潔い有料サービスなんじゃないかと思っています。
うちに安心して預けて下さいとかっていうのはもはや時代遅れなのかもしれません。
きっとその辺を踏まえた何かが必要なのでしょう。
今までのネットバブルのつけは今こうしてやってきているのだと思います。